不法移民問題をビッグビジネスに、甘い汁吸う国境の町 米テキサス

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不法移民問題をビッグビジネスに、甘い汁吸う国境の町 米テキサス
2018年6月27日 17:23 
発信地:エルパソ/米国 [ 米国 北米 メキシコ 中南米 ]

【6月27日 AFP】移民を相手に無償で活動している人権活動家にしてみれば、移民の苦境を利用してひともうけする輩は「むかむかする」存在だ。しかし、メキシコと国境を接する米テキサス州では、民間刑事施設の運営会社や金融業者、小さな法律事務所にとって、不法移民問題は仕事を生み出すビッグビジネスとなっている。

 テキサス州は、ドナルド・トランプDonald Trump米大統領が導入した、不法入国者を厳格に取り締まる「ゼロ・トレランス(不寛容)」 政策によって起きている移民危機の中心地だ。この政策によって、不法入国、または難民認定申請中の家族から引き離された子どもは2000人を上回る。

 トランプ氏は20日、移民親子引き離し措置を停止する大統領令に署名したが、これが現場に及ぼす影響をめぐっては大きな混乱が続いている。

 移民税関捜査局(ICE)によれば、2017年度にメキシコから越境し、国境警備隊に拘束された人の数は30万4000人近くに上った。そのうちの3分の2以上はテキサス州での拘束だった。ただ、同州に国内最多の移民収容施設があることを考えれば、これは驚きの数字ではない。

 同州ヒューストンには、米近代史初となる民間の刑事施設がある。1983年に設立された同施設を運営するコアシビック(CoreCivic、旧コレクション・コーポレーションズ・オブ・アメリカ)とGEOグループ(GEO Group)は業界大手で、米ニューヨーク証券取引所NYSE)にも上場している。

 コアシビックはICEとの契約により、テキサス州で4か所の収容施設を運営している。一方のGEOも現在、4か所目となる施設を建設中だ。両社それぞれが国内で所有または運営している刑事施設は120以上に上る。

 GEOのジョージ・ゾーリー(George Zoley)最高経営責任者(CEO)は昨年、連邦政府と新たに1億1000万ドル(約120億円)相当の契約を結んだことを発表し、「ICEからわが社への変わらぬ信頼に心から感謝している」と発言していた。

不法入国者の厳罰化求めるロビー活動に27億円

 リサーチセンター「インザパブリックインタレスト(ITPI)」の調査によると、こうした民営化の動きによって、不法入国などの軽い犯罪でも多くを収容しようとする経済的インセンティブが生まれているという。

 報告書によると、コアシビックとGEOグループは、「1989年以降の選挙の立候補者に1000万ドル(約11億円)以上を費やし、ロビー活動費に2500万ドル(約27億円)近くを投じた」とされる。それぞれの年次報告書によれば、2017年の収益は合わせて40億ドル(約4400億円)に上る。

 移民の人権問題に取り組む非営利組織「Migrant Center for Human Rights」の活動を手伝う弁護士のジョディ・グッドウィン(Jodi Goodwin)氏は、「拘禁期間および法律で義務付けられている最低刑期の延長、そして刑の厳罰化を求めてロビー活動をしているのがこの業界だ。毎日、誰かを拘禁しておけば、それだけで彼らにとってはお金になる」「むかむかするような業界だ」と批判的な意見を述べた。

 ICEによれば、2017年度に施設に収容されていた移民の数は、1日平均3万539人。今年はすでに5万379人に達している。

 そして今回、現在進行形の移民危機がきっかけとなり、国境で親から引き離された子どもたちが収容される施設の運営企業にも、ようやく厳しい目が向けられるようになった。非営利のニュースメディア「テキサス・トリビューン(Texas Tribune)」によれば、テキサス州には子ども用の収容施設が31か所ある。

 しかし、不法移民ビジネスから利益を得ている業界は、民間の収容施設だけではない。
(リンク先に続きあり)
(c)AFP/Leila MACOR