マティス米国防長官、初訪中南シナ海問題にクギ対北圧力には協力要請

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マティス米国防長官、初訪中南シナ海問題にクギ対北圧力には協力要請
2018年6月27日 16:59

【北京=永井央紀、ワシントン=永沢毅】中国を初訪問中のマティス米国防長官は27日、北京市内で魏鳳和国務委員兼国防相と会談した。南シナ海で中国が進める軍事拠点化は認めないとクギを刺す一方、北朝鮮問題では非核化を促すための圧力を当面継続するよう協力を求めたとみられる。中国側は大国同士の対立・衝突は回避すべきだと協調を訴えたもようだ。

ロイター通信によると、マティス氏は会談の冒頭で「軍同士の関係は二国間関係のなかでも特に重要なものだ」と指摘。米中間の緊張が高まる中での信頼醸成に向け、魏氏のワシントン訪問を招請した。魏氏はマティス氏の訪中は「両国、両軍の関係にとって新たな前向きな要素だ」と述べ、信頼と協力の強化が重要だと強調した。

マティス氏は会談で、国際社会からの再三の指摘にもかかわらず中国が南シナ海で軍事拠点化を続けていることを批判。米国主導で毎夏に実施している国際的な環太平洋合同演習(リムパック)に今年は中国を招待しない理由だと通告したとみられる。

マティス氏は6月上旬にシンガポールで開かれた国際会議で講演した際、中国の軍事拠点化について「習近平(シー・ジンピン)国家主席の約束に反する」と強く非難した。今年に入ってからは米軍艦を南シナ海へ派遣する「航行の自由」作戦の実施ペースを2カ月に1回に増やしており、今後の状況次第では一段と強硬な措置をとると警告した可能性もある。

北朝鮮問題をめぐっては米韓合同軍事演習を当面中止する一方、非核化が実現するまで圧力を維持する方針を伝達。国連安全保障理事会の制裁決議を引き続き厳格に履行するよう協力を求めたようだ。中朝国境地帯では制裁の抜け穴をつく禁輸品の流通が目立ち、包囲網の緩みへの懸念が強まっている。

マティス氏は国防長官に就任してからの1年半にアジア諸国をたびたび訪問しているが、訪中は初めて。米国防長官の訪中はオバマ前政権だった2014年以来、4年ぶり。中国が南シナ海の軍事拠点化を加速させた15年以降の米中関係の冷え込みがにじむ。

昨夏、米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長が訪中した際は、中朝国境地帯を管轄する中国軍「北部戦区」を視察。中国兵と一緒に兵舎で食事をとるなど、朝鮮半島情勢での協力姿勢が目立った。ただ、対話路線にシフトした北朝鮮が米中と個別に協議するようになり、米中間の主導権争いが目立つようになってきた。

マティス氏は28日までの滞在期間中に習近平(シー・ジンピン)国家主席や軍制服組トップの許其亮・中央軍事委員会副主席とも会談する予定。その後、韓国と日本をそれぞれ訪問する。